【初級】Charlie and the Chocolate Factory

チャーリー・バケットは、お父さんお母さん、父方のおじいちゃん、おばあちゃん、母方のおじいちゃん、おばあちゃんの7人暮らし。貧しいバケット家の食事は、朝はパン、昼はポテトとキャベツ、夜はキャベツスープのみ。いつもお腹を空かせているチャーリーが、何よりも恋い焦がれているもの…それはチョコレート。年に1回、誕生日にもらえる、たった1つのプレゼント。そんなチャーリーの町には、世界一大きな、そして世界一有名なチョコレート工場があった。それは、チョコレートの天才、ウィリー・ウォンカの工場。しかし、その工場の中を見た者はいない。働いている人の影は見えるのに、朝、工場の中に入っていく人も、夕方、仕事を終えて出てくる人もいないのだ。

そんな謎に包まれたチョコレート工場のオーナー、ウィリー・ウォンカが、ある日突然、新聞広告を出した。「チョコレートの包み紙に隠された『金のチケット』を見つけた5人の子どもを、チョコレート工場に招待する。」たった5枚の金のチケットをめぐって、世界中が大騒ぎ。幸運にもチケットを手に入れたチャーリーは、チョコレート工場に招待され、その秘密を知ることになる。しかし、工場では様々な予期せぬ出来事が起きて…。チャーリーの運命はどうなるのか、そして、ウィリー・ウォンカの目的は一体何なのか!?

チョコレートの魔術師、ウィリー・ウォンカ

ウィリー・ウォンカは、ロアルド・ダールの作り出したキャラクターの中でも、特に人気のキャラクター。本作の主人公はチャーリーだけど、ウィリー・ウォンカのキャラクターこそ、この物語を面白く、魅力的にしている。

そんなウォンカについて、チャーリーのおじいちゃんは、

Mr Willy Wonka is the most AMAZING, the most FANTASTIC, the most EXTRAORDINARY chocolate maker the world has ever seen!

と、興奮気味に褒め称え、

He’s a magician with chocolate!

「チョコレートの魔術師!」とまで言っている。
どんなチョコレート工場よりも美味しく、しかも独創的なお菓子を作るウォンカ。
一方で、まったく落ち着きがなく、都合の悪いことは聞こえないふりをする子どもっぽい面も。その上、チョコレート工場で事故に巻き込まれる親子を、(うわべは困った顔をしつつ)明らかに楽しんで見ていたりと、少々悪趣味なところも。

「天才と狂気は紙一重」とも言うけれど、読みながら、だんだんウィリー・ウォンカが怖くなってきたのは私だけだろうか…?

現代っ子、そしてその親たちへの風刺

金のチケットを手に入れた5人の子どもたちは、甘やかされて育ってきたり、一日中テレビばかり観ていたりと、どこか問題のある子どもたちばかり。しかし、チョコレート工場の見学によって、そんな子どもたちは大きく変えられてしまう…。

これらのエピソードは、現代社会への風刺と見ることもできる。とはいえ、この物語が書かれたのは1960年代。今読んでも、まったく古びていないことに驚く。

特に有名なセリフ、

So please, oh please, we beg, we pray,
Go throw your TV set away,
And in its place you can install
A lovely bookshelf on the wall

は、テレビばかり観て、本を読まなくなってしまった子どもたちを心配した、作者ロアルド・ダール自身からのメッセージと受け取ることもできる。若者のテレビ離れが進む昨今では、むしろ「Go throw your smartphone away」に置きかえた方がピッタリくるかもしれないが。

日本生まれ、日本育ち。本が大好き。 特にミステリー、冒険もの、歴史もの。 海外駐在員。 TOEIC 950、IELTS Academic 7.0

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