パーシー・ジャクソンは13歳、ギリシャ神話の神と人間のハーフ。去年の夏の冒険以来、平和な日々を送っていたパーシーだったが、学校での期末テスト中、再び怪物に襲われてしまう。危ないところを友人のタイソンとアナベスに助けられたパーシーは、2人と共に、ハーフのための訓練所「Half-Blood キャンプ」へと向かう。しかし、1年ぶりに見たキャンプは、姿を変えていた。どこよりも安全なはずだったはずのキャンプは、巨大な雄牛の怪物に蹂躙され、キャンプを守る「タリアの松の木」は枯れかけ、パーシーたちの師であるケイロンは学校を去ろうとしていた。さらに、去年の冒険を共にした親友グローバーも、魔海の島で危機に瀕していた。
「タリアの松の木」を甦らせることができる「金の羊毛」を手に入れるため、そして親友グローバーを救うため、パーシーは再び冒険へと旅出つ。
ルークの父、ヘルメス
本作では、ルークの父親であり、盗人・旅人・メッセンジャーの神でもあるヘルメスが登場。父ヘルメスに捨てられたと怒り、オリンパスを崩壊させようとしているルーク。それに対してヘルメスは、
Percy, the hardest part about being a god is that you must often act indirectly, especially when it comes to your own children. (略)
But I believe if you give it some thought, you will see that Poseidon has been paying attention to you. He has answered you prayers. I can only hope that some day, Luke may realize the same about me.
と話す。人間との間に子供を作っておきながら、「神は間接的にしか動けない」とのたまう神。そして、子供に対して「注意を向けている」「祈りに応えている」とも。ルークが怒っているのは、そういうところなんじゃ…と思うけれど、ともかく神と人間の「親子観」には、大きな隔たりがあるのだ。
ちなみに、オリンパスの神々は、人間との間に子供を作っても、必ずしも認知してくれるわけではない。実際、Half-Bloodキャンプには、自分の親が誰なのか分からず、認知を待ち続けている子供もいる。その一方で、神から認知された上、プレゼントを贈られている子供もいる。例えば、アナベスは母アテナから、被ると姿を消せる(透明になれる)帽子を、クラリスは父アレスから槍を、そしてルークは、父ヘルメスから空飛ぶスニーカーを贈られている。つまり、ルークはヘルメスにとっては特に気にかけていた子供の1人と推測されるのだけど、そのルークが、父を含めたオリンパスの神々を裏切ることになるとは、皮肉である。
致命的な欠点
「すべてのヒーロー(神と人間との子)は、致命的な欠点を持っている」と話すアナベス。そして、「自分の致命的な欠点は傲慢さだ」とも。
前作でアナベスは、軍神アレスについて、「Ares has strength. That’s all he has. Even strength has to bow to wisdom sometimes.(アレスは強さを持っているけれど、それがすべて。時に力は知恵に屈しなければならない)」と、なかなかの辛口で評していたけれど、アレスの娘クラリスも同じ。無駄に相手を挑発して自滅したりと、思慮のなさが致命的な欠点でもある。
それでは、主人公パーシーの欠点は何だろう?アナベスもそれには答えていない。仲間思いで優しく、戦いにおいては勇敢で、機転もきく。今のところ、致命的な欠点はないように見えるけれど…。
ところで、そんなパーシーの本名はPerseus(ペルセウス)。これは、母親がギリシャ神話の英雄にちなんで付けた名前だったことが判明する。ペルセウスは、ギリシャ神話の中で唯一、ハッピーエンドを迎えた英雄。果たしてパーシーは、母親の願い通り、ハッピーエンドを迎えることができるのだろうか。