【中級】Spy School

「あなたのスパイ養成学校への入学を認めます。つきましては…」
数学の才能と、正確な時間感覚をもつベン・リプリーは、普通の公立学校に通う11歳の男の子。ある日突然、CIAにスカウトされ、スパイ養成学校に転校することに。ジェームズ・ボンドのようなクールなスパイになることを夢見て入ったスパイ学校だったが、転校早々、学校のいじめっ子に目をつけられ、暗殺者に襲われ、忍者に失神させられ…と、スパイ学校の洗礼を受ける。

いじめっ子から自分を助けてくれたマーリィに「スパイ学校のいろは」を教わりながら、少しずつ学校生活に慣れていくベン。ある日、学校の中に怪しげな動きがあることを察知する。学校内に裏切り者がいて、密かな企みが進行しているらしい。裏切り者は誰なのか?一体何を企んでいるのか?ベンは、学校一優秀で美人なエリカと共に事件の解明に挑む。

最後は予想外の犯人にびっくり。ユーモアたっぷりのスパイシリーズ。

個性豊かなスパイ学校の生徒たち

「登場人物の個性が際立っていること。」
これは面白い物語の条件の1つだと思っているのだけれど、この「スパイ・スクール」シリーズには、たくさんの魅力的なキャラクターが登場する。

スパイ学校の生徒の中でも、特に変わり者のマーリィ。
甘いものに目がなくて、服は食べこぼしで汚れていて、髪もぼさぼさ。将来、現場で活躍することを目標に切磋琢磨する他の生徒を尻目に、「命の危険があるフィールドより、9時5時で帰れるデスク仕事希望」と、落ちこぼれを演じている。でも、自作の感電装置を使って、いじめっ子からベンを助けてくれたり、実はやり手な一面も。

そして、ベンが一目惚れするエリカは、ライラックと弾薬の香りをまとったクールな美女。ベンの2つ年上で、学校中が一目置く、超優秀な生徒。ひょんなことからエリカと一緒に事件を捜査することになったベンは、エリカのクールな仮面の下の素顔を知り、少しずつ距離を縮めていく。

マーリィやエリカ以外にも、人にニックネームをつけるのが得意なゾーイ、変装の天才ワーレン、学校一のいじめっ子チップなど、これから話を面白くしてくれそうなキャラクターがたくさん。なんといっても、ここはスパイ養成学校。アメリカ中から「特別優秀」な生徒たちが集められているのだから…。

the students at spy school were the cream of the crop from around the country. They were brilliant. They were athletic. They were awe-inspiring. There were students who could defeat ten ninjas at once, students who could take out snipers while riding a horse, students who could build bombs out of household objects and chewing gum, and at least two who’d mastered piloting a helicopter while fighting an assailant with a knife (at least on the simulator).

「格好良くない」主人公

スパイ養成学校に転校して、スパイの卵となったベン。でも、銃器の扱いは苦手、至近距離の闘いもからっきし駄目。あまりの駄目っぷりに、「こんなにすぐにやられてしまうわけがない。これは、敵の目を欺くための芝居に違いない!」と、ゾーイは「ベンは、実は超優秀なスパイ説」を唱え、「Smokescreen(煙幕、目くらまし)」というニックネームまでつけてしまう。

敵に襲われる度に「Please don’t kill me.」と懇願し、窮地に陥ってはエリカに助けられるベン。スパイ映画に出てくるような「クールでハンサムなスパイ」では決してないのだが、むしろそこが面白い。スーパーヒーローじゃないからこそ、読者はベンに感情移入し、応援したくなる。

日本生まれ、日本育ち。本が大好き。 特にミステリー、冒険もの、歴史もの。 海外駐在員。 TOEIC 950、IELTS Academic 7.0

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