ダレン・シャンシリーズの第2巻。
バンパイアの血を体内に入れ、半分人間、半分バンパイアの「ハーフ・バンパイア」になってしまったダレン。人間としての生活を捨て、自分をバンパイアにした張本人であり、保護者でもあるクレプスリー氏と行動を共にすることになる。しかし、2人きりの旅暮らしはダレンには耐えがたく、クレプスリー氏と共に「奇妙なサーカス団」に戻ることに。
当のサーカス団は、ちょうど田舎にサーカスを張っていた。しばらくそこに滞在することになったダレン。環境保護団体のメンバーRVや、近所に住んでいる少年サムと出会い、仲良くなった2人をサーカスショーに招待するのだが、それが悲劇の始まりとなる…。
人間とバンパイアの狭間で悩むダレン
前作でハーフバンパイアとなってしまったダレン。今作では、「人間としての自分」と「バンパイアとしての自分」の間で葛藤する姿が描かれている。
バンパイアになって数ヶ月。家族も恋しいし、一緒に遊ぶ友達も欲しい。
「人間の血を飲まずにいれば、人間に戻れるかもしれない…」そんなことを夢見るダレン。
If I avoided it, I might become a human again. Perhaps the vampire blood in my veins would were out. Maybe I wouldn’t die. Maybe only the vampire in me would die, and then I could return home to my family and friends.
家族のようなサーカス団
外から見たら変人ばかりのサーカス団。でも、座長のMr トールをはじめ、手を使って誰よりも速く走るハンスや、不思議な体毛を持つ美女トゥルスカなど、実際は気の良い人ばかり。バンパイアになってしまったダレンを暖かく迎えてくれる。
特に年の近いヘビ少年のエヴラとは、兄弟のように仲良くなり、ダレンの孤独は少しずつ癒されていく。(とはいえ、サーカス団には、狼男や「小さな人たち」を引き連れたMr タイニーという不気味な存在もいて、決して油断はできないのだけれど…。)
親がわりのクレプスリーに対しては、自分をバンパイアにした怒りと憎しみをぶつけるダレン。しかし心の中では、彼が良い人で、自分のことを気遣ってくれていることも理解している。
とはいえ、彼にとっては「バンパイア=悪」。
He seems to be a nice man, from what I’d seen of him – apart from the fact that he was a vampire!
物語の最後、ダレンは真の意味で「バンパイアのアシスタント」となる。
しかしそこには、ダレンだけでなく、タフなバンパイアであるはずのクレプスリーも肩を落とす、辛く悲しい物語が…。
“I’m a real vampire’s assistant now, aren’t I?” I asked.
He nodded sadly. “Yes. You are.”
“Does that make you glad?”
“No,” he said. “It makes me feel ashamed.”
とにかくダークなこのシリーズ。
2作目も、なかなかグロテスクな展開なので心の準備が必要かも。